その夢はすすり泣きから始まった。頭に、重く響く。暗い部屋の中、目を覚まし手を見る。目をこするとヌルッとした感覚があった。手が真っ赤に染まる。ふらりと起きあがって部屋にある水鏡を覗き込むと、水面に映る姿は右目が無い女性だった。
 頬の赤い雫が、ぽつん、ぽつんと波紋を作り水鏡が薄い赤に染まった。すすり泣きはまだ聞こえる。そいつが右目を盗ったのだと直感的に知れた。
 水鏡の中の姿が狐の面を取り出し、水上に差し出す。それを受け取り、被った。すすり泣きしている奴を捜し出さなければ。日が射し込む外へ出る。  
 庭には大きな木が天まで伸びていた。カラスがこっちを見て一声鳴いた。どうもここは山にある神社らしい。狐面の女(以降、きつね)は山を跳ねるように下りる。途中で子供の死体が脇に転がっていた。うつぶせになった頭は、輪切りになって貌が無かった。
 しばらく行くと同じ死体がまた一つ。すすり泣きはこの頃ぐらいに聞こえなくなった。気持ちだけが焦る。 
 空が唸りだした。黒い闇がぽっかりと空いて、地に這うもの全てを飲み込み始めた。きつねは恐怖した。逃げなければと。
 だが、きつねは溜息をついて身を放る。どうも闇は自分だけを欲していて他はどうでもいいらしい。自己犠牲的な心情と言うよりも、疲れた諦めで持って闇に身を投げる。ブラック・アウト。夢は覚めるかと思いきや、腹部に鈍い痛みと闇に喰われる、きつねの映像。夢は終わる。  

という夢を見た。感覚がシンクロしてかなり嫌だった。血のヌルッとした感覚とか。腹を喰われるとこはマヂ痛かった。そのショックで起きた様な物。かなりダークな夢であったと思う。色々印象的だったのでイラストまで勢いで描いてしまった。そんな所。  

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