かっち、かっち、・・・
規則正しい時計の音の中、僕は目を覚ます。
日溜まりの匂い、埃が光に舞う。
壁には無数の時計が架かっていた。
その中を僕は独り机の上に坐っている。
ここは古道具屋だ。
そのまま、再びまどろむ。
 
きー

戸が開いた。
和服を着た娘、『きつね』。
僕を手に取る。
その時自分がボロボロのヌイグルミである事を知った。
 
20円
緑むした10円玉が二枚、机に置かれる。
『きつね』に買われてしまった。
『きつね』に自分は壊れかけているから買わないでくれ
と言おうとしたが、『きつね』の満足げな顔を見て止めた。
 
『きつね』は小高い所にある、木々に覆われた社に向かう。
さびれた稲荷神社。
 
そこで2人で交互に積み木を重ねる。
ヌイグルミ「どうせ崩すから、この辺で止めよう。」
きつね「最後まで頑張ろうよ」
ヌイグルミ「俺はこれに向いていない。ヌイグルミだし」
きつね「でもできない訳じゃないやん。
ホラホラ、腐ってないで次。」
 
ヌイグルミはちぎれかけた腕で積み木を載せていく。かなり辛い。
『きつね』は頑張れと言う。
 
きつね「いつも後少しなのに諦めるから。手が届くところまでは頑張って」
 
時計の刻む音を耳にしながら、ヌイグルミは積み木を積み立てていく。
 
夢は終わる

 
なんだか3回目。きつね関連。
目が覚めたとき、腕を枕にしてました。腕の感覚がない。
神社は、子供の頃迷子になった折、迷い込んだ所でした。
その他は、ノーコメント。
 
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