東の地平線が暁に染まる。
晩秋の木々はその衣を落としており、陽光を遮ることはなく
森の小道は真っ赤に染まっていた。
その中でもっとも高い杉のてっぺんに黒衣の小さな者がうずくまり
眼光鋭く辺りを監視している。
まるで鴉だ。
みじろぎもせず、衣が不気味に風になびくに任せている。
そうした鴉はこの森に70人存在し、朽ちた都フラッハを守っている。